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オリパは違法?賭博・景品表示法・誇大広告の3つの論点から元裁判官の弁護士が解説

オリパは違法?賭博・景品表示法・誇大広告の3つの論点から元裁判官の弁護士が解説

オリパとは、販売者が市販のパックから取り出したカードなどを組み合わせて販売するオリジナルパックのことです。

最近では、専用サイトでポイントを購入して抽選する「オンラインオリパ」も広がっています。

中身が偶然で決まる商品のため、「賭博ではないか」「景品表示法に違反しないか」と不安を感じる方も少なくありません。

オリパには多くの法律が関係しますが、この記事では、特に問題となりやすい「賭博」「景品表示法」「誇大広告」の3つの論点に絞って解説します。

【この記事の結論】
賭博:運営者の売上が抽選結果で変わらない設計であれば、賭博に当たる可能性は低いと考えます。ただし、当選カードの買取りやポイント還元で実質的に換金できる仕組みには注意が必要です。
景品表示法:抽選で提供するカードは取引の対象そのものであり、原則として景品規制の対象外です。一方、コンプ特典や購入特典などの「おまけ」は景品規制を受けます。
誇大広告:実際に提起された訴訟でも誇大広告が問題とされています。還元率・市場価格・当たり本数などは、根拠資料で裏付けられる範囲で表示する必要があります。

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オリパの違法性は論点ごとに分けて考える

オリパの違法性は論点ごとに分けて考える

オリパは「違法か合法か」という形で議論されがちです。

しかし、オリパに関係する法律上の問題は一つではありません。

この記事では、そのうち特に議論になりやすい次の3つに絞って解説します。

論点主な法律問題となる場面
賭博刑法185条〜187条抽選の仕組み、買取り・ポイント還元の設計
景品表示法(景品規制)景品表示法4条、懸賞景品制限告示コンプ特典・購入特典など、本体に付ける「おまけ」
誇大広告(表示規制)特定商取引法12条、景品表示法5条還元率・市場価格・当たり本数などの広告表示

論点ごとに問題となる場面が異なるため、一つの論点で問題がないからといって、事業全体が適法とはいえません。

反対に、ある論点でリスクがあっても、仕組みや表示を見直すことで対応できる場合も多くあります。

以下、それぞれの論点を順に見ていきましょう。

論点①オリパは賭博罪に当たるか

論点①オリパは賭博罪に当たるか

オリパの違法性で最も多く議論されるのが、賭博罪との関係です。

結論からいうと、典型的なオリパが賭博に当たる可能性は低いと考えています。

賭博とは「偶然の事情で財物の得喪を争うこと」

刑法185条は、賭博をした者を50万円以下の罰金または科料に処すると定めています。

賭博とは、一般に、偶然の事情によって財物の得喪を争う行為をいうとされています。

ここで重要なのが「得喪を争う」という要件です。

一方が財産を得て、他方がそれを失うという「勝者と敗者」の関係があって、初めて得喪を争うといえます。

なお、運営者が利益を得る目的で賭博の場を提供したと評価されると、より重い賭博場開張等図利罪(刑法186条2項:3か月以上5年以下の拘禁刑)が問題になります。

参考:経済産業省「賭博罪をめぐる論点について(東京大学大学院法学政治学研究科教授 橋爪隆)」

運営者の得失が抽選結果に左右されなければ賭博に当たりにくい

当事務所が賭博の可能性を低いと考える理由は、通常のオリパでは運営者と購入者の間に「勝者と敗者」の関係が生まれにくいためです。

例えば、1口1,000円で100口を販売し、封入するカードと当たりの数をあらかじめ決めているオリパを考えてみましょう。

購入者が高額カードを引いても、運営者はそのカードを仕入れ済みで、1口あたりの売上も変わりません。

そのため、運営者が「負けた」とはいえません。

反対に、購入者が低額カードを引いても運営者の売上が増えるわけではないため、運営者が「勝った」ともいえません。

つまり、偶然によって変わるのは購入者が受け取るカードの種類だけで、運営者の得失は抽選結果に左右されないのです。

このような設計であれば、得喪を争う関係は認められにくいと考えます。

一方で、販売店は購入されるたびに封入したカードを失うことから、偶然によって財物の得喪を争う関係にあると見る余地を指摘する見解もあります。

オリパの賭博該当性について、判断が確立しているとまではいえない状況です。

そのため、「オリパだから賭博ではない」と考えるのではなく、自社のサービスが得喪を争う関係を生まない設計になっているかを確認することが大切です。

論点②景品表示法の景品規制に違反するか

論点②景品表示法の景品規制に違反するか

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、過大な景品の提供と、不当な表示の2つを規制しています。

ここでは前者の景品規制を取り上げ、表示の問題は論点③で解説します。

オリパで引いたカードは原則として「景品類」に当たらない

景品表示法上の景品類とは、顧客を誘引する手段として、事業者が自己の供給する商品・役務の取引に付随して提供する経済上の利益をいいます(景品表示法2条3項)。

オリパでは、購入者は代金を支払って抽選し、その結果としてカードを受け取ります。

このカードは、取引に「付随して」提供されるおまけではなく、取引の対象そのものです。

消費者庁も、オンラインゲームの有料ガチャについて、得られるアイテム等は取引の対象そのものであり、景品表示法上の景品類には該当しないと整理しています。

参考:消費者庁「オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について」

コンプ特典や購入特典は景品規制を受ける

一方、オリパ本体とは別に提供する特典は、景品類に当たる可能性があります。

例えば、次のような企画です。

  • 指定のカードを全種類そろえると、別の高額カードがもらえる
  • 一定額以上購入した人を対象に、別の抽選で特典を提供する
  • 最後の1口を引いた人に、追加の賞(ラストワン賞など)を付ける

これらは、オリパの購入を条件として本体とは別の利益を与えるものであり、取引に付随する景品類と評価されやすくなります。

抽選などの偶然性を利用して提供する場合(一般懸賞)、景品類の最高額は、取引価額が5,000円未満なら取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円までです。

また、景品類の総額は、懸賞に係る売上予定総額の2%以内に収める必要があります。

名称を「プレゼント」や「ボーナス」に変えても、実際の提供方法で判断されます。

参考:消費者庁「一般懸賞について」

「カード合わせ」は金額にかかわらず全面禁止

特典の企画で特に注意したいのが、いわゆる「カード合わせ」です。

カード合わせとは、何種類かのカードなどをランダムに配り、決められた組合せをそろえた人にだけ景品を渡す方法のことです。

オリパに置き換えると、次のような企画が典型です。

  • 「指定の5種類のカードをすべて引き当てた人に、限定カードをプレゼント」
  • 「同じシリーズのカードを全種類そろえたら、ボーナスとして高額カードを進呈」

このような企画では、購入者はカードをそろえるために何度もオリパを購入することになりがちです。

特に、最後の1種類がなかなか出ないように設定されていると、「あと1枚でそろう」と考えて購入を続けてしまいます。

カード合わせは、懸賞による景品の提供を制限する告示(懸賞による景品類の提供に関する事項の制限。以下「懸賞景品制限告示」)の5項で、景品の金額にかかわらず全面的に禁止されています。

消費者庁は、禁止の理由として、この方法自体に欺瞞性が強いことと、射幸心(偶然の利益を期待する気持ち)をあおる度合いが著しく強いことを挙げています。

つまり、一般懸賞のように「上限額の範囲内なら提供してよい」というものではなく、景品が安価なものであっても、この方法で提供すること自体が許されません。

オンラインゲームでも、ガチャで特定のアイテムをそろえると別のレアアイテムがもらえる「コンプガチャ」が社会問題となり、消費者庁はこれがカード合わせに当たる場合があると整理しました。

オリパも、ランダムにカードを引き、そろえる楽しみと結びつきやすい点でコンプガチャとよく似ています。

なお、禁止されるのは、組合せをそろえたことに対して「別の景品」を渡す場合です。

オリパで引いたカードそのものは取引の対象であり、購入者がカードを集めること自体が問題になるわけではありません。

「全種類そろえたら〇〇」という特典を検討する場合は、カード合わせに当たらないか、事前に確認することをおすすめします。

参考:消費者庁「インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A」
「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(告示)」

論点③オリパの広告が誇大広告に当たらないか

論点③オリパの広告が誇大広告に当たらないか

オリパをめぐって実際に提起された訴訟で、中心的に問題とされているのは広告表示です。

この記事で取り上げる3つの論点の中では、誇大広告が実質的な問題となる可能性が最も高いと考えています。

オリパを買うかどうかは、当たりの内容や確率、還元率などの表示に大きく左右されるためです。

表示と実態が著しく食い違うオリパの広告は、特定商取引法12条(誇大広告等の禁止)や、景品表示法5条(優良誤認表示・有利誤認表示の禁止)に違反します。

どちらも、商品の内容や取引条件について、実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認させる表示を禁止しているためです。

オンラインオリパはインターネットで申込みを受ける通信販売に当たるため、特定商取引法の規制も及びます。

オンラインオリパ運営会社5社への提訴でも誇大広告が問題とされている

2026年9月17日、オンラインオリパの購入者38人が、大手運営会社5社に対し、総額約2億7,000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

報道によると、原告側は、サイト上で「2分の1の確率で希少なトレカを獲得できる」とする広告が表示されていたのに実際には獲得できなかったとして、誇大広告に当たると主張しています。

原告側の弁護団は、これに先立つ9月7日、上位5社について消費者庁に調査を求める申出も行っています。

弁護団は、還元率や当選確率、獲得するカード・ポイントの価値について、利用者が取引の実態を検証できるだけの表示がされていない点を問題の一つに挙げています。

参考:時事ドットコム「トレカ販売「誇大広告」 サイト運営5社を提訴―東京地裁」
東京新聞デジタル「ほぼギャンブル?トレカ再販「オリパ」の仕組み 借金抱える若者も…消費者庁に調査要請が届く」

オリパの誇大広告とは「表示と実態の食い違い」

オリパの誇大広告の問題は、一言でいえば、広告で示した当たりの内容・確率・価値と、実際の取引内容が食い違っていることです。

例えば、「当選確率50%」「還元率100%」「市場価格10万円」と表示するなら、対象・計算方法・価格の根拠を確認しましょう。

強い訴求を大きく掲げ、重要な条件を小さな注記だけで補う見せ方にも注意が必要です。

表示例問題となる点確認・保存する資料
当選確率50%何を「当選」と呼ぶのか、対象の抽選が明確か当たりの定義、抽選の仕様、提供状況の記録
還元率100%現金・カード価格・ポイントのどれで計算するのか計算式、算定対象、交換・発送条件
市場価格10万円時点やカードの状態、取引市場が対応しているか参照価格、確認時期、状態・鑑定条件

例えば、一定のポイントを得られる結果を「当たり」に含めているのに、希少カードが高確率で当たるように見せれば、購入者の理解とのずれが生じます。

「還元率」も、全体の平均と個々の利用者の回収額は別の数字です。

購入者に実際よりも有利な取引だと誤認させ、本来であれば支払わなかった金額を支払わせることにつながるような場合は、誇大広告と評価される可能性があります。

消費者庁は、懸賞で実際の当選者数が告知した当選者数に満たない場合などは、取引条件の不当表示に当たるおそれがあるとしています。

参考:消費者庁「景品表示法における違反事例集」

「当たり〇本」の表示と実際の封入・排出が一致しない場合も、同様の考え方で問題になると考えられます。

当たりカードがすでに排出されているのに表示を残し続ける運用は、特に避けなければなりません。

誇大広告への対応では、表示ごとに「その数字や言葉の根拠を説明できるか」が重要です。

根拠資料を示せなければ違反とみなされる、または推定される可能性もあります。

参考:消費者庁「表示規制の概要」

例えば、次の資料等を、企画ごとに保存しておきましょう。

  • 封入カードの一覧と、「当たり」の定義
  • 還元率・市場価格の算定方法と参照データ(参照元・参照日時)
  • 当たり残数の更新履歴と排出記録
  • 広告画面・販売ページ・SNS投稿の保存版
  • 企画内容を変更した場合の変更履歴と、利用者への告知内容

オリパの違法性に関するよくある質問

オリパの違法性に関するよくある質問

オリパの違法性について、よくある質問に回答します。

Q:オリパを買った購入者も罪に問われますか?

A:賭博罪は「賭博をした者」を処罰しているため、条文上は購入者も対象になり得ます(刑法185条)。

ただし、通常のオリパが直ちに賭博に該当する可能性は低く、購入しただけで直ちに処罰されるわけではありません。

Q:高額カードが当たるオリパは、景品表示法の上限額に違反しませんか?

A:抽選で提供するカードは取引の対象そのものであり、景品表示法上の景品類には当たらないため、景品の上限額規制は及ばないと考えます。

ただし、コンプ特典や購入額に応じた追加特典など、オリパ本体とは別に提供するものは景品類に当たり、上限額やカード合わせの禁止の対象になります。

オリパ事業の法的リスクはリット法律事務所にご相談ください

オリパ事業の法的リスクはリット法律事務所にご相談ください

オリパは、仕組みの設計による賭博の論点、特典企画による景品規制、日々の広告表示による誇大広告のリスクに加え、事業の内容に応じてさまざまな法律が関係する事業です。

いずれも、一度リーガルチェックを受ければ終わりではなく、新しい企画や表示の変更のたびに確認が必要になります。

リット法律事務所では、オンラインガチャ・オリパ事業者の顧問として、仕組みの適法性の検討から、広告表示や利用規約のチェックまで継続的にサポートしています。

ご相談の際は、購入から発送までの流れ、抽選の仕様、買取り・ポイント交換の条件、広告画面をご用意いただくと、確認すべき箇所をスムーズに整理できます。

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監修者

■藤本拓大(ふじもと たくひろ)
弁護士(大阪弁護士会)
弁護士法人リット法律事務所 共同代表

中央大学法学部卒業。司法試験予備試験に合格後、司法研修所(第71期)を修了。
2019年に裁判官に任官し、横浜・松江・東京の各裁判所で約6年間、民事・刑事・少年事件等を担当。
在任中、アメリカ・ヴァンダービルト大学ロースクールにて客員研究員としても活動。
2025年4月に弁護士登録し、現職。
裁判官として民事・刑事の事件を担当した経験を活かし、企業法務やスタートアップ支援にも取り組んでいる。

Xアカウント https://x.com/fujimoto_lawyer

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